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SINCE 2015-

播州そろばんの海外プロモーション

伝統産業の担い手とともに、日本の教育文化を海外へ。
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播州そろばんの海外プロモーション

播州そろばんを作り続けて100年の老舗との出会い。

古くから「播州そろばん」の産地として栄え、今もそろばんの生産量日本一を誇る兵庫県小野市。株式会社ダイイチは、この町で明治42年に創業した老舗です。トランクデザインと株式会社ダイイチの最初の出会いは2013年、「インターナショナルギフトショー」においてでした。当時ダイイチではすでに、地場産業のプロデュースに強いデザイン会社〈シーラカンス食堂〉と組んで、さまざまな商品開発や、そろばん作りワークショップなどの活動に取り組み始めていました。

それでも当時ダイイチの社長だった宮永現会長は、トランクデザインに興味を持たれ、いつか力を貸してほしいと言ってくださいました。そこで僕がやりたいと思ったこととは、すでに進んでいる商品開発に加わるよりも、むしろそろばんという無形の文化を伝える活動ができないかということ。やがてトランクデザインがプロデュースするイベント「たるみマルシェ」に、そろばん作りワークショップをブース出店してもらったりしているうち、宮永会長や〈シーラカンス食堂〉との関係が深まっていきました。

経産省の後押しを得て、播州そろばんを海外へ。

そして2015年、経産省が中小企業の海外進出を後押しする「MORE THAN PROJECT」第2期の募集が始まり、ダイイチも採択されることが決定。〈シーラカンス食堂〉の小林新也くんが、「プロジェクトマネージャーとして手伝ってほしい」と僕に声をかけてくれ、本格的な協働がスタートしました。今回の狙いは新規のデザインやものづくりではなく、そろばんという教育文化を広めること、という認識を改めて共有した僕たちは、まず小野市に通って、現在産地が抱える問題についてリサーチすることから始めました。

日本ではすでに小学校でもそろばんを教える授業が減り、生徒が自分のそろばんを購入するということがなくなっています。さらに分業制で成り立っていたそろばん作りは、零細な個人事業主が多く、後継者問題も深刻です。そんな話を聞く一方で、日本式のそろばん塾は東南アジアや中東レバノン、南アフリカなどで展開しており一定の評価を得ていることがわかりました。

産地を背負う覚悟と突破力を学んだ、海外キャラバン。

そこで僕たちは「MORE THAN PROJECT」の補助金を活用して、そろばん製造の様子が伝わる動画を制作。それを携えて、台湾、ベトナム、シンガポールを回って現地調査を行いつつ、各地でそろばん作りワークショップを開催しました。そのワークショップ活動の中で、僕たちが目撃したのが「小野が生んだ伝説の人たらし」宮永会長の底力です。どこに行っても動じることなく、道行く人誰彼ともなく声をかけ、情熱たっぷりにそろばんの説明をするその姿勢に多くの人が惹きつけられ、ほどなく会長の周りに人だかりができてしまうのです。産地を背負うのに必要なのは、この突破力なのだということを、僕自身、宮永会長の背中から学んだ気がします。

もともとレバノンや南アフリカのそろばん塾とつながりがあり、海外進出に向けた野心的な取り組みはすでに始めていたダイイチでしたが、こうして東南アジアに足がかりを作ったことは、さらなる大きな力となったようです。それを裏付けるように、「MORE THAN PROJECT」の支援が終了してからも、宮永会長は単独でベトナムや台湾へ飛んでいます。「MORE THAN PROJECT」における僕たちのミッションであった「事業者が飛び立つための滑走路を用意する」ことはいったん完了しましたが、またこれから夢のある協働ができればと楽しみにしています。

株式会社ダイイチ
http://daiichi-j.com/

MORE THAN PROJECT
http://morethanprj.com/

Written 2020.04

このプロジェクトを経て

現在
Hyogo craftにて木製の播州そろばんを販売

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