• JP
    • EN
    • 繁体
  • JP
  • EN
  • 繁体
SINCE 2015-

障がい者施設との協働

障がい者の現場に、クリエイティブなパワーを。
#ワークショップ #セルフプロジェクト #6sense Project #商品企画開発 #障がい者 
障がい者施設との協働

区役所の仲立ちで始まった、障がい者施設との関係。

トランクデザインは2015年から、神戸市内にあるいくつかの障がい者施設と協働を行っています。僕たちがオリジナルで作っている播州織アパレルの縫製やパーツ加工、和紙のお香Ku(クゥ)の包装など、その施設が持っている設備や得意な作業を考慮し、仕事を依頼しているほか、施設の側から商品企画などのプロデュースを依頼されるケースも。そんなお付き合いのきっかけは、垂水区の福祉課の方から「障がい者のための授産活動の一環としてものづくりを行っている施設と、何かコラボができないか」というご相談を受けたことでした。

授産活動としてものづくりに取り組んでいる施設では、往々にして「つくること」にばかり注力して、ユーザー目線に立ったブランディングや販路開拓ができていないケースが多くあります。そうなるとせっかく作ったものも売れず、安売りに走らざるを得ない。トランクデザインはそんな悪循環を改善するひとつの手段として、みんなで一緒に商品企画開発について考える勉強会をやりましょう、とご提案しました。

商品開発を学ぶ、ワークショップ形式の勉強会発足。

そして、区役所のご協力のもと、2015年度の1年間をかけて全4回の勉強会を開催することが決定。会には、複数の知的障がい者施設から有志の方々が集まりました。内容は、アイデア出しのブレーンストーミングの進め方に始まり、ユーザー目線に立った商品開発の発想法、商品の魅力の見せ方伝え方、品切れを起こさない生産体制の構築などです。トランクデザインが一方的にレクチャーするのではなく、3〜4人ずつの少人数グループに分かれて意見交換し、考えた内容を発表してもらうワークショップ形式にしました。

僕がこの勉強会で伝えたかったのは、まず自分たちが「買いたい、贈りたい」と思えるものを作りましょう、ということでした。そのためにはものづくりに関わる人が、街に出て売り場を歩いてリサーチしてみなければなりませんし、商品の魅力が視覚的に伝わるようにする工夫も必要です。4回の勉強会を終えた後には、「目からうろこだった」「これまでこういう考え方をしたことがなかった」などの感想を参加者の方々からいただきました。

広がったつながりと、これからへの期待。

一連の勉強会が終わってもなお、さらにトランクデザインと組んでものづくりをしたい、と手を挙げてくださったのが、「クローバーの会 友が丘作業所」と「神戸光生園」という2施設です。クローバーの会とは、それまでに作っていた焼き菓子を街のパティスリーに負けないレベルまで格上げしよう、と意思統一をし、レシピの一部見直しとロゴ&パッケージデザインに着手。レシピの改善には、トランクデザインが懇意にしているパティシエの力を借りました。このことによって生産が追い付かないほど商品の引き合いが増え、「見せ方を変える」ことの効果を実感していただいたようです。

一方の神戸光生園では、利用者の方々が描くアートを活かした雑貨や、草木染のストールなどのブランド「6sense Project」をプロデュース。2017年2月には東京ビッグサイトでの「インターナショナルギフトショー」に出展しました。「障がい者施設の授産活動」という枠組みを飛び出し、一般のメーカーと同じ土俵に立って、厳しいバイヤーの目にさらされることは、「売れるものづくり」のセンサーを磨くうえで、非常に重要です。もちろん施設の方の自助努力だけでは追いつかない部分は多々あるでしょうから、今後も僕たちのようなクリエイターとどんどん協働が進むといいなと期待していますし、今後は学生たちにも、教育の一環としてぜひこういう協働に参加してもらいたいと思っています。

2020.04 執筆
一覧に戻る BACK