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SINCE 2014-

オーガニックファームとの協働

「農」がつなぐ新たなコミュニティを、デザインという思考で支援。
#セルフプロジェクト #ナチュラリズムファーム #ファンづくり #デザインと農産物の交換 #物々交換 
オーガニックファームとの協働

いいものを作っていても、人に伝わっていなければ意味がない。

神戸市西区にある〈ナチュラリズムファーム〉は、有機農法で野菜作りを行っている有機JAS認定農家。出会いのきっかけは、代表・大皿一寿さんからオリジナル商品として販売する一味唐辛子のパッケージデザインを依頼されたことでした。有機唐辛子のしっかりした辛味と風味のよさが味わえるこの一味唐辛子がすっかり気に入った僕たちは、彼らにトランクデザインがプロデュースするイベント「たるみマルシェ」に出店してもらい、野菜などと合わせて販売してもらうことにしました。

〈ナチュラリズムファーム〉の品々は、マルシェの来場者にも非常に好評でしたが、ひとつ気になることがありました。彼らが自己紹介ツールとして持っているのは電話番号だけが記された簡易な名刺のみ。自分たちが誰で、どんな思いで野菜作りをしているのかが、伝わっていないのです。せっかくいいものを作っていても、人に伝わらなければ存在していないも同然です。そこでトランクデザインは、ロゴと農園紹介になるショップカードと、ウェブサイトを作ろう、と提案しました。

お金がない!それならデザインと農産物の等価値交換をしよう。

とはいえ、彼らに潤沢な予算はありません。自治体の補助金を申請しても下りる額はわずかで、デザイン制作費をカバーするには足りない額です。けれど僕たちは「足りない分は野菜とお米で受け取れたらいい」、つまり価値と価値の交換をしようと考えたのです。

ウェブサイトやショップカードなど、伝えるツールができたことで、一番変わったのは大皿夫妻の意識かもしれません。「有機、神戸」でインターネット検索すると上位で表示されるようになったことから、飲食店からの引き合いや取材の申込などもぐんと増えました。農園のファンが増えていく中で、畑で楽しむBBQイベントを自主企画開催したりと、これまでになかった動きも生まれました。

若き有機農家たちのリーダーとして、農の仕組みも変えていく動きへ。

変化はこれだけではありません。神戸市が主催する地産地消イベント「EAT LOCAL KOBE」でも中心メンバーとなった大皿さんは、近年アメリカ西海岸で広がりつつあるCSA(コミュニティー・サポーテッド・アグリカルチャー=地域が支える農業)という概念に着目。CSAとは、消費者が農家に対し、前払いで年間の作物購入契約を結ぶ仕組みで、消費者が信頼する農家の安定経営をサポートできる利点があります。

大皿さんは現在、志をともにする西区の有機農家たちからなる「BIO CREATORS」でリーダーをつとめ、CSAの推進だけでなく農地でのツアーイベントや、飲食ビジネスなども取り込んだ6次産業化にチャレンジしています。世間を見渡せば、まだまだデザインという思考が活かされていない「農業」ですが、それでも彼らのように「思いの伝え方のデザイン」を武器に変えて、ひと足先に進んでいく農家たちはこれからどんどん増えていくでしょう。トランクデザインはそんなフロントランナーたちの並走者のような存在でいられたらと思っています。

Naturalism Farm
http://www.naturalismfarm.com/

2019.02 執筆

このプロジェクトを経て

現在
KOBE SHIOYA店にて、Naturalism Farmの野菜を使用したのメニューを提供
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